認知症の人が保証人になるとき
認知症と診断された人が保証人になる場合には、いろいろと注意すべき点があります。
まず、認知症がかなり進んでいて、簡単なことも判断できないような状況なら、保証人にはなれません。
認知症のことを債権者に隠して契約すれば、契約上は保証人になれますが、そのことで争いが生じて裁判になれば、保証人としての責任はないとされるでしょう。
ただ、認知症を隠して契約していることから、悪意のある行為と見なされて、その場合には債権者から損害賠償請求を受ける可能性は十分あると言えます。
次に、中程度の認知症で、部分的には正しい判断ができるという場合には、裁判でもどちらに転ぶかはわかりません。
ただ、その保証人にとって、主債務者が融資を受けることが利益となるケースでは、認知症でも保証人としての責任があるとされる可能性が高いです。
逆に、その保証人にとって、保証人になることに何の得もなく、ただ責任を負うだけというケースでは、保証する責任はないとされる可能性が高くなります。
また、どうしても認知症の人が保証人になりたいという場合や、認知症の人に保証人になってほしいという場合には、家庭裁判所で保佐人を選任してから契約するのが妥当です。
もしくは、認知症の程度を医師に診断してもらい、その診断書を添えて公証役場で公正証書として契約するなど、後から問題が生じないようにしておくべきでしょう。