会社が報告義務を怠ったとき
身元保証人とは、入社した本人が会社に損害を与えたとき、その損害を弁済する人になります。読んで字のごとく、その人の身元を保証する人になります。
ただ、身元保証人は、本人の勤務環境が変わったり、本人の素行に責任を持てなくなったときには、会社側にそれを告げることで身元保証を解除することができます。
身元保証契約は会社との契約になりますので、それによって本人がどうなるのかは関係がないのです。
ところで、本人が会社に対して損害を与えたときには、それを本人が全額弁済して身元保証人に迷惑がかからなかったときでも、会社はそれを身元保証人に報告する義務を負っています。
また、そうした報告によって、身元保証人が契約を解除するのか継続するのかは自由になります。
問題は、会社がそうした身元保証人への報告を怠り、その後に本人が甚大な被害を会社に与えてしまったときです。
会社側がしっかりと報告していれば、身元保証人は甚大な被害による弁済を負う前に契約の解除をしたかもしれません。
そのため、この場合には身元保証人は会社が報告を怠ったことを主張して、弁済の範囲を少なくすることができます。
ただ、会社が報告を怠ったとしても、身元保証人の責任がゼロになることは難しいでしょう。ケースにもよりますが、この場合には被害の2割から3割の弁済が一般的となっています。