自己破産はモラルの問題ではない
自己破産をするのに最大のネックとなっているのがモラルです。
人から借りたものを返さないのは人間として間違っているというモラルが、自己破産の最大の敵だと言っても良いと思います。
しかし、自己破産をそうした道徳勘定で考えるのは不適切だと言えます。
資本主義社会である以上、得をする人がいるということは損をする人がいるということです。自己破産で得をする人もいれば損をする人もいるのは仕方がありません。
それに、破綻状態にある人がそのままの状態でいることは、社会に対してマイナスでしかありません。
自己破産をして経済的に立ち直れば、その人は消費者として社会に貢献していくことになります。
また、破綻状態なら破産しなくても支払いができず、債権者に迷惑をかけることには変わりありません。
どうせ破綻して支払いができないなら、自己破産をして借金を清算したほうが、債権者にもありがたいというものです。
私は消費者金融業者で勤務していたとき、お金がなくて支払いができないと嘆く顧客に対しては、自己破産をするよう促していました。
もちろん、将来支払いができる目処があるなら支払ってもらいたいですが、10件以上も借入してこのままではまったく再生の兆しが見えないというのなら話は別です。
さっさと自己破産してもらえば、債権者のほうもさっさと不良債権として処理ができるというものなのです。
借りたものは返さなくてはというのはわかりますが、債務者が支払いをせず、ただ返さなくてはと考えていても、債権者は嬉しくも何ともありませんよね。