貸金業者にとっての自己破産
顧客が自己破産をしたとき、貸金業者はどのように思うでしょうか?
個人経営の貸金業者ではない限りは、概ね何も思わないのが普通です。
自己破産の通知が弁護士から来たからといっても、それは珍しいことではありません。いちいちショックを受けたり、破産者に対して怒りを覚えたりすることはないと言えます。
自己破産の件数は貸付件数からすればわずか数%でも、件数自体で言えばとても多くなります。私の勤めていた小規模な消費者金融業者でさえ、1支店で毎日数件はきていました。
自己破産する人が少ないと言うのなら、自己破産しやがってという気持ちになるのかもしれませんが、その感覚が麻痺するぐらい自己破産が多いのです。
結局、貸金業者にとっての自己破産とは、事務作業以外の何ものでもないのです。
しかも、その事務作業は利益をまったく生みません。ただ、破産者のためにだけ行われるボランティアになるのです。
顧客が自己破産を申立てれば、貸金業者は債権届けを提出しなければいけませんが、それが結構大変です。
1件1件は数分でできることでも、数が多ければかなりの手間をとられてしまいます。
貸金業者の中には自己破産処理の専門部署を設けていたり、アルバイトを使って処理をさせているところもあるぐらいです。
貸金業者は自己破産について良い印象を持ちようがありませんが、破産者個人にその気持ちが向けられることはあまりないといえるでしょう。