長期延滞債権はそのうち償却債権になる
金融機関にとっての債権は、税法上では資産となります。
債権は将来の利息を生むものであり、いずれは元金も返還されるからです。
貸金業者は貸付残高が残っている延滞債権については、その返済が見込まれない場合でも資産の1つとして数えられてしまい、税金を支払わなくてはなりません。
しかし、まったく返済の見込みがなく、利益どころか元本すら返ってこない不良債権については、税金の対象外とすることができます。
貸金業者が返済の見込みのない長期延滞債権について、税金の対象外とした債権のことを償却債権と呼びます。
ただ、償却債権になると請求権がなくなるということではありませんので、延滞者は引き続き請求を受けることになりますが、税金のかかる通常債権と比べて極端に督促が少なくなります。
償却債権よりも税金のかかる通常債権のほうを優先して回収するのは当然ですよね。
償却債権はもはや債権とは呼べず、償却債権で回収した利益も雑収入となるほどです。
長期延滞を続けると、いずれはこの償却債権になります。償却債権になればぱったりと請求がこなくなる場合が多いので、延滞者としてはラッキーなのかもしれません。
また、貸金業者の償却債権の回収に対する考え方は概ね「拾い物」といった感じで、ゼロだったものがプラスになってラッキーぐらいにしか考えません。
通常債権では回収しなければマイナスとなりますが、償却債権の場合にはすでにマイナス清算後ということで、目くじら立てて回収という感じではないはずです。