株式上場による変化
1980年代後半から1990年代になると、消費者金融の大手各社は次々と株式市場への上場を果たしていきます。武富士、アコム、プロミス、アイフルなど、現在東証1部に上場している消費者金融業者はいくつもありますよね。
株式市場への上場は、資金調達手段の充実と業界イメージの向上を図ろうという狙いで行われました。企業を大きくしていくには、どうしても資金が必要です。
まだまだ消費者金融の市場が発展途上にあったこの時期、資金があればあるだけ会社を大きくすることができたのです。
業界イメージの向上という点も、株式市場への上場では大きな意味を持つものでした。消費者金融というと、どうしても良いイメージは抱きませんし、ヤミ金融と切り離して考えることができないため、利用に不安を抱く消費者も多かったのです。
ところが、東証1部に上場することで、社会的な信用がつきます。上場している企業なら、安心して利用できると思うのが普通の感覚ですよね。
消費者金融で働いている社員にしても、それまではヤミ金融を運営しているチンピラと同列に思われていたのが、東証1部に上場している一流会社の社員という扱いに変わると思います。
ただ、消費者金融大手が株式を上場したことは、こうした意味ではとてもプラスに働いたのですが、予想外にマイナス面もでてきてしまったのです。
それは、株式を公開したことで、これまで以上に利益を追求しなくてはならなくなったことです。株式上場企業は誰の会社かというと、資金提供者である株主のものだからです。
株主の利益を追求することが、上場企業の宿命とも言えると思います。利益を追求すれば儲けすぎだとマスコミや評論家連中から批判を受け、利益を追求しなければ株主から批判を受けるという板ばさみ状態になってしまったのです。
とは言え、消費者金融大手が株式市場に上場したことは概ねプラスだったと思います。ただ、上場している大手の消費者金融業者が、いろいろと不祥事を起こしていることは、大いに不満に思いますが。