特別条項の利用者要件
住宅資金貸付債権に関する特則は、民事再生法に定められているものですが、その内容は個人再生手続き本体よりも細かい取り決めがあり、複雑だと言えます。
住宅資金貸付債権に関する特則は、個人再生を申し立てた人なら誰でも利用できると言うわけではありません。
住宅資金貸付債権に関する特則を利用するには、いろいろな要件をクリアーすることが必要で、ここでは利用者に対する要件を説明したいと思います。
個人再生の申し立てをして、それが裁判所に求められると、再生債務者となります。ここで、住宅資金貸付債権に関する特則を利用するには、再生債務者が個人であることが必要です。
つまり、法人で民事再生法を申し立てた場合には、この制度を利用することができないということです。
そして、当たり前の話になりますが、再生債務者が住宅を所有していることが条件になっています。ただ、ここで注意したいのが、例えば住宅を夫婦で共同購入した場合などです。
住宅資金貸付債権に関する特則を利用するには、再生債務者が住宅を所有していることが必要なので、住宅が配偶者名義で、再生債務者本人は建物の敷地を所有していることになっているときには、条件を満たしていません。
住宅自体を夫婦の共同購入という場合には問題ありませんが、上記のような場合には利用できませんので、前もってどうなっていたのかを調べておいたほうが良いと思います。
また、住んでいる住宅が再生債務者の所有ではなかった場合、マイホームは再生債務者自身の財産ではありませんので、個人再生や自己破産でそれを没収されることはありません。
その場合、住宅の所有者が個人再生や自己破産をするときにのみ、マイホームが関係してきます。