債権者から見た個人再生
個人再生をすると、最大で総債務額の8割が免除されます。ここで最大でと付け加えていますが、多重債務が原因で個人再生をする場合には、ほとんどが総債務の8割免除になります。
自己破産では総債務額が全額免除になりますので、それに比べれば債権額の2割がもらえる個人再生は、債権者にとってはありがたいもののように感じます。
しかし、消費者金融などの債権者からすれば、再生債権の届出書作成の手間や、再生計画中の返済の管理費などの負担があり、自己破産をしてもらったほうが良いという考え方をすることもあります。
自己破産で債務者から求められる破産用の提出書類では、初回契約日は記入する必要がありますが、基本的には現在の債権額を記入すれば済みます。
ところが、これが個人再生の場合には、裁判所に請求されるのは利息制限法での引き直し計算書も提出しなければいけません。それだけ手間も費用もかかるのです。
個人再生での弁済期間は最長で3年から5年になりますが、その間もずっとその債権の入金処理などの管理をしなければいけません。自己破産であれば、貸し倒れとして処理しておしまいです。
自己破産が20件あっても、その貸し倒れ処理をするのにそれほどの手間はかかりませんが、これが個人再生債権になると、同じ件数でもその数百倍の手間がかかってしまいます。
個人再生債権を管理するための場所を設けたり、そこで管理する人を雇えば、経費もそれだけかかってしまうのです。
さらに、個人再生では1件あたりの総返済額が10万円に満たないことも多く、債権者としては自己破産のほうが良いと思うこともあるのです。
個人再生は、ある程度の弁済をする点では債権者にもメリットがありますが、現実には債務者の立場だけで考えられた制度と言っても良いと思います。