裁判所が介入して借金整理を行うのが調停です(特定調停1)
債務整理の方法として調停というやり方があります。
では調停による借金整理とは何かを見てみましょう。
調停とは、裁判所を通して債権者、債務者の双方が話し合いを行い、
返済内容について合意が得られればその内容で調停調書を作成します。
この調停調書は裁判の判決と同じ効力を持っています。
債務整理では一般調停と特定調停があり、返済を継続して行っていく場合や、
現状の返済が困難な場合は特例調停により債務整理を行います。
(調停による借金整理の場合は特定調停を選択しますので
ここでは一般調停には触れずに話を進めます)
特例調停とは、返済が困難になった債務者や資金繰りに行き詰った中小企業が
裁判所を通じて債権者と返済について話し合い、経済的な立ち直りを図る
手続きのことです。
(特定調停と任意整理の違い:任意整理は裁判所を介さずに当事者同士が交渉します)
特例調停の特色を挙げると一般調停と異なり特別な規定が存在することです。
以下にその内容を記載します。
1.特定調停の手続きは申立人および債権者によって、債権債務の内容や
返済状況についての詳細を明確にする義務があります。
2.契約書や帳簿などの提出を求められることがある。
3.特定調停の円滑な進行を妨げる恐れがあれば、強制執行を
停止することが出来ます。
これらの特別な規定は話し合いを解決しやすくするためのもので、
コレまでの調停には存在していませんでした。
債務整理という観点からみれば、任意整理と同じように
当事者の合意を持って成立するものです。
特別調停の場合は、事実調査を行い支払の元手などを算出して
その結果を持って調停が進行していきますので
無理のない返済計画となるようになっています。
そのため、債権者、債務者双方にとって妥当な結論が得られる仕組みとなっています。
特定調停の実例
特定調停で債務整理した事例と、特定調停を選択した理由をあわせて紹介します。
■事例:Aさんは新卒で就職したものの、事あるごとに親にお金を無心していました。
しかし、就職しているということで親への無心がしにくくなったことから、
サラ金に手をだしてしまったのです。
最初は10万円程度でしたが、段々と額が大きくなり50万円も
平気で借入するようになりそのお金で遊びまくったのです。
2年後には総額300万円にもふくらんでしまいました。
結婚の話が持ち上がりましたが、婚約者側には借金の話が出来ずに
親に泣きついて借金を返済したのです。
しかし、結婚してからしばらくしてサラ金に再び手をだし、1年で400万円まで
債務が膨らんでしまいました。
この債務に関しても父親に泣きつき退職金の前借という形で完済したのです。
会社で借金の噂が出たことで居づらくなり、退職。
新しい会社に移ってからは再びサラ金に手をだしてあっという間に
借金総額が600万円まで膨らんでしまいました。
さすがにこの額になっては返済ができないことから、再び親に泣きつきましたが
親は現金がないため不動産を担保にして500万円を工面して返済しました。
しかし、600万に対して500万円までしか親に話さなかったので
借金は100万円が残った状態となりました。
この100万円が2年後には300万になったのです。
もはや借金をすることが当り前になったAさんはどのようにして債務整理したのでしょうか。
■解決法:長期に渡って何度も借金を繰り返していることから、
弁護士は特定調停が良いと判断しました。
この場合、自己破産という選択もありえましたがギャンブルや交際費など
浪費による借金については自己破産が難しいことと、
長期に渡って借金を繰り返していることから利息制限法による再計算を行うことで
過払い金を考慮した結果と考えられます。
このように事例によって債務整理の方法は異なってきますので、
まずは弁護士に相談することが重要なのです。