減免されない損害賠償請求権
消費者金融や信販会社からの借金は、その2割を3年の分割で弁済すれば、残りの8割の法的な支払い義務はなくなります。これが、個人再生の大まかなルールになると思います。
ところが、個人再生にはそうした一般債権以外で、減免されない債権があります。
個人再生で減免されない債権の1つに、損害賠償請求権があります。個人再生では、申立人が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権については、一切減免されないとしています。
わかりやすく言えば、個人再生の申立人が、わざと他人の財産を盗んだり壊したり、わざと他人の身体を傷つけたりしたことに基づいて請求された損害賠償金は、個人再生では減免されないというのです。
他人のお金を盗んでそれを全部使ってしまい、返せないから個人再生で減額してもらおうというのでは、虫が良すぎる話ですよね。
ここで言う損害賠償請求権は、故意に他人に損害を与えた結果が前提となっていますので、まさに自業自得で負った債務と言っても良いと思います。
例えば、人を殺した場合、刑事裁判ばかりが注目されていますが、普通は被害者の家族から犯人に対して損害賠償請求が行われると思います。
被害者が一家を支える人間であった場合には、被害者の家族は生活することができなくなってしまいます。
損害賠償金が入れば生活することができると思いますが、その犯人が個人再生をしてそれが減免されるようでは、常識的に考えておかしいですよね。
個人再生ではギャンブルや浪費といった借金の理由を問わないのが原則ですが、こうした悪意で加えられた不法行為に対する損害賠償請求は別ということです。