最低弁済額の例
ある人が個人再生をしようと考えていたとします。
その人の収入は、税金や健康保険料を差し引いた手取り額で500万円です。また、自宅を売った場合に手にするお金は、1000万円です。
その他に財産と呼べるものに自動車があり、これを売ると50万円になります。それに、退職金の見込み額が現時点で20万円です。
一方借金のほうは、住宅ローンが900万円、消費者金融を中心としたその他の借金が400万円になります。
一般債務総額に応じた最低弁済額は、債務総額が100万円以上500万円未満になりますので、100万円になります。
清算価値の総額は、自宅の売値である1000万円から住宅ローン900万円を差し引いた100万円に、自動車の50万円と退職金の見込み額20万円を加えた170万円になります。
そして、この人の可処分所得の2年分を居住地の法令に従って計算してみると、40万円となりました。
ここで、各金額を比べてみると、生産価値の総額が170万円でもっとも高くなることがわかると思います。
そのため、この人が給与所得者等再生を実行したときの最低弁済額は、170万円ということになります。
また、小規模個人再生の場合には、可処分所得の2年分という条件がなくなります。
ただ、今回の場合には清算価値の総額がもっとも高額になっていますので、小規模個人再生でも給与所得者等再生でも最低弁済額は同額になります。
一般的には、財産と呼べるものが何もなかったり、住宅ローンがその住宅の資産価値よりもはるかに残っている場合には、小規模個人再生では債務総額の2割、または100万円が最低弁済額になります。
個人再生では、その最低弁済額を3年で弁済するというのが原則になっています。