消極的同意要件
消極的同意要件とは、再生計画案に対して再生債権者に積極的に賛成を求めることをしなくても、再生計画案に同意しない旨の書面が裁判所に過半数提出されなければ、再生計画案が可決されたとみなすとするものです。
企業が利用する通常の民事再生がこれとは反対に再生債権者に積極的な同意を求めるのに対して、個人再生では消極的同意要件が適用されています。
民事再生では、債権者集会を開いて、再生計画案についての賛成を求めます。止むを得ない場合以外では、書面による決議は認められていないのです。
民事再生では、何もしないで債権者集会を迎えれば、反対多数で再生計画案が否決されることも多いと思います。
民事再生では、債務者やその会社の社員らが手分けして、各債権者に再生計画案に賛成してくれるよう働きかけます。民事再生では、債権者による再生計画案の決議が1番の難関となっているのです。
一方の個人再生では、債務者の多くは普通に会社勤務していますので、各債権者を回って説得するだけの時間的な余裕がなく、相手が金融のプロである消費者金融業者では説得も困難になることが予想されます。
さらに、ヤミ金融からも借りている場合には、そんな怖い人のところへ説得しに行くことは危険です。
そういったことが考慮されて、個人再生では消極的同意要件となっているのです。
消極的同意要件なら、同意しない場合には再生債権者は積極的に行動を起こさなくてはなりませんので、消費者金融業者のほとんどは尻込みしてしまいます。
すべての個人再生に反対するのであれば、かなりの労働力を必要としますので、消費者金融業者は現実的には再生計画案に反対できないと言っても良いかもしれません。