収入が少ないと・・・
特定調停では、利息制限法で引き直されることによる債務の減額、和解日以降の金利のカット、長期分割弁済などが可能ですが、基本的には借金の全額を弁済するものです。
自己破産では借金がゼロになり、個人再生では借金が5分の1程度になりますが、特定調停ではそういった実質的な債務の減額はありません。
特定調停では弁済をすることが大前提であり、弁済をする原資を用意しておく必要があります。一括するための資金や毎月の安定した収入がなければ、特定調停をすることができないと思って間違いないと思います。
そのため、特定調停を申立て、裁判所に選任された調停委員との協議の中で、返済資金や毎月の収入を増やす努力を求められたり、生活費の見直しを求められたりもします。
高額な家賃を支払っている場合には引越しを、外食ばかりで食費が高くなっているなら自炊を、その他、返済原資を作るためにいろいろと調停委員から注文を受けることになります。
調停委員としては何とか特定調停での和解を成立させ、本人に経済的な再建をしてもらおうというのです。
ときには厳しい態度をとられることもあるかもしれませんが、それはすべて本人のためを思ってのことなので、そのことはわかってあげましょう。
特定調停は債権者との和解になりますので、債権者を納得させるだけの和解案を提示する必要があります。
収入が少ないと、債権者を納得させるだけの和解案の提示ができず、和解が不成立になってしまうのです。
債務総額が200万円で、毎月の返済原資が2万円の場合には、各債権者に対して100回払いを提案しなくてはなりませんが、そんな長期の分割案で和解するところはいないと思います。
特定調停は、債務額にもよりますが、ある程度の返済原資を確保できるかどうかで、成功するか失敗するかが決まってきます。