交渉の基本は電話
特定調停は、申立人である債務者と相手方である債権者が裁判所に出廷して、裁判所で話し合いをするというものです。
このままでは約定通りの返済ができないから、返済方法を変更してほしいという債務者と、契約したのだから約定通りに返済してほしいという債権者に、裁判所が話し合いの場を提供しているのです。
そのため、特定調停では申立人と相手方の双方が裁判所に出廷するよう求められています。
しかし、特定調停では、申立人のほとんどが多重債務者であり、相手方である債権者をすべて裁判所に呼びつけるのは進行上の効率が悪いですし、債権者にも負担になります。
それに、債権者の多くは消費者金融業者であり、申立人としてはあまり対面したくない相手だと思います。
そこで、特定調停では、申立人は裁判所に出廷しなければいけませんが、相手方である債権者は電話でもかまわないとしています。
もちろん、債権者が裁判所に出廷して、直接交渉をしたいと言うのであればそれはそれで可能ですが、消費者金融業者でそうした行動に出るところは今ではほとんどないと思います。
それは、電話で済むのに、わざわざ裁判所に行くという意味がないからでしょう。
そのため、特定調停での交渉は、基本的には電話で行われています。しかも、申立人は電話に出ることはなく、電話で債権者と交渉するのは調停委員の役割となっています。
迷惑をかけている債権者と顔をあわすのが嫌だという人は、安心しても大丈夫だと思います。
また、特定調停の場を借りて債権者に謝罪したいと思っている人は、前もって調停外で債権者と接触する必要があります。