遅滞約款は裁判所による
遅滞約款とは、和解の中で合意された支払いを守らなかったときにどうするかという取り決めのことで、特定調停だけでなく、金銭消費貸借契約を結ぶときにも用いられるものです。
例えば、消費者金融からお金を借りるときに結ぶ金銭消費貸借契約では、決められた返済期日を1回でも遅れた場合には、期限の利益を喪失するという遅滞約款が用いられているケースが多くなります。
期限の利益を喪失すると分割払いの権利がなくなり、一括請求を受けても文句を言うことができません。簡単に言えば強制解約になるということです。
特定調停は申立人である債務者と相手方である債権者との間で和解することになり、形式的には遅滞約款も双方の合意のもとで取り決められるものになります。
しかし、実際には各簡易裁判所の運用方針によって遅滞約款が決められていて、債務者も債権者もそれに従っているのが普通になります。
ただ、裁判所で予め決めてある遅滞約款に不服の場合は、双方が合意して尚且つそれが正当な理由であるときには、稀にその主張が認められることがありますので、絶対とまでは言い切れません。
特定調停で多い遅滞約款は、毎月の返済金の2回分を延滞したときには期限の利益を喪失して、年率18%の遅延損害金を加えて直ちに全額を返済しなければならない、という内容だと思います。
京都簡易裁判所のように、毎月の返済金の3回分を延滞したときには期限の利益を喪失して、直ちに全額を返済しなければならない、という遅延損害金を加えないパターンも存在しています。
これら遅滞約款については、その都度簡易裁判所で改定されるものでもあり、将来はどういった遅滞約款になっているかはわかりません。
まあ、1回分を延滞しただけでというような、債務者側に著しく不利なものにはなることはないと思います。