債権者の特定調停に対する考え
債権者の特定調停に対する考え方は、昔と比べて随分変わってきていると思います。
昔は個人再生というものがなく、過払い金返還請求も今のように法律で認められてはいませんでした。債務整理と言えば自己破産か弁護士がする任意整理、そして特定調停ぐらいでした。
昔は自己破産は借金を踏み倒す制度と考える人が多く、世間的に見ても非難されるようなところもありました。
そのため、今よりも自己破産への抵抗が大きく、なかなか自己破産に踏み切れないといった人も多かったと思います。
自己破産の申立て件数が少ない時代では、債権者にとっては特定調停という債務整理に厳しい目を向けざるを得ません。
契約した返済ができないというのは、それ自体で債権者にとっては不利益を被ることになるからです。
しかし、時代は変わりました。破産法の改正のたびに自己破産はどんどんしやすい制度になり、個人再生が生まれ、さらには過払い金返還請求まで頻繁にされるようになったのです。
そうなってくると、特定調停というのは他の法的な債務整理と比べて、とても債権者のことも考えてくれる制度だと思えてきます。
今では、返済の苦しそうな債務者に対して、他の債務整理をされる前に積極的に特定調停を促す貸金業者も少なくありません。
今の債権者の特定調停に対する考え方は、他の債務整理ではなく特定調停で良かった、といったものになるのです。