特定調停で期限の利益を喪失
特定調停で決定される和解内容には、必ず遅滞約款が組み込まれています。遅滞約款とは、和解した内容にある支払い約束を守らなかったときに、どうするかというものです。
代表的な遅滞約款は、定められた毎月の返済を守らず、その金額が2回分になったときには期限の利益を失い、速やかに一括で返済するといった内容になります。
また、遅滞約款では、期限の利益を失った翌日から完済まで残元金に対して年率18%による遅延損害金を加えるという内容の文も組み込まれることが多いと思います。
簡単に言えば、2ヶ月分の返済を怠ったら、遅延損害金をつけて一括ですぐに返済しろというのです。
これは債権者が言っていることではなく、裁判所が言っていることなので、軽く考えてはいけません。もはや裁判所までも敵に回し、もう誰も助けてはくれませんよということと考えても良いと思います。
裁判所の言う通りに遅延損害金をつけてすぐに債権者に一括返済すれば良いのですが、それができない場合には、給与の差押などの強制執行を受ける可能性が出てきます。
強制執行は債権者が裁判所に申立てて行うもので、裁判所が勝手に行うことはありません。
債権者の中には強制執行の手続き方法に詳しくないところや、大手の消費者金融で知名度を落としたくないという理由で強制執行をしないところもあります。
そのため、期限の利益を喪失したからとってすべての債権者が強制執行をしてくるということはありませんが、強制執行を受ければ1社でも10社でも受ける被害は変わりません。
運が良ければ、特定調停で期限の利益を喪失しても強制執行を受けなくても済むかもしれませんが、債権者の数が5社以上になれば、かなりの確率で強制執行を受けることになると思います。
ただ、現在の法律では給与の差押ぐらいし効果的な強制執行は見当たらず、失業している人は強制執行を受けることもないと思います。