特定調停から自己破産へ
自己破産を申立てるには、支払い不能になっていることが条件となっています。一方の特定調停を申立てるには、支払い不能になる恐れのあることが条件となっています。
この両者の違いがわかるでしょうか?
支払い不能とは、すでに約定での返済をすることができない状態であり、支払い不能になる恐れのあるとは、今はまだ約定通りの返済ができるが、このままでは支払い不能になる可能性が高い状態ということです。
支払い不能の人は特定調停を申立てることはできませんし、支払い不能になる恐れのある人は自己破産を申立てることはできません。
これは、特定調停を利用した人の経済的信用が悪化すると、自己破産を申立てることができるということになると思います。また、特定調停を利用して経済的信用が悪化すると、自己破産しか道がないとも言えます。
特定調停は債務者の経済的再建を裁判所が手助けする制度で、自己破産にならないようにする制度と言っても良いと思います。
自己破産では債務者は財産を債権者に差し出さなくてはなりませんし、債権者としても債権を強制的に放棄しなければなりません。
その点、特定調停は債務者の財産も守りつつ、債権者の債権も守るという、とても優れた制度になっています。
しかし、特定調停を利用して債務整理をしたにもかかわらず、その後返済の途中で自己破産に移行する人がとても多くいます。
確かに、リストラや倒産といった収入面でのリスク、交通事故や病気といった支出面でのリスクは誰にでもあり、そうしたアクシデントのために特定調停から自己破産に移行する人もいるかもしれませんが、多くはないと思います。
自己破産に移行する人で多いのは、やはりその人のお金の管理能力の低さだと思います。100円しか使ってはいけないところで200円使うような人は、特定調停をしても自己破産に移行するのが当たり前です。
多重債務者にはお金の管理能力の低い人が多く、そうした人が特定調停を利用しても、結局はうまくいかず、自己破産に至ってしまうのです。