特定調停の具体例1
ここでは、特定調停の1例を挙げることで、より具体的にこの制度について説明したいと思います。
Aさん男性、妻と子供あり、会社勤務、月収は手取りで30万円、ボーナスは年夏と冬に20万円、妻のパート代は月5万円、借入れ件数10件、約定での債務額は400万円、現在の返済額は月15万円。
Aさんは生活費として家に月20万円を入れなければいけません。残った10万円はすべて借金の返済に充てられますが、それでも毎月5万円足りない状態です。
返済で足りない分は借金を繰り返すことでまかなってきましたが、最近では消費者金融の審査も通らなくなり、このままでは破綻してしまうということで、特定調停をすることにしました。
特定調停を申立てると、利息制限法に引き直した債務総額が200万円だということがわかりました。
裁判所に選任された調停委員との話し合いで、返済原資をこれまでと同じ10万円と設定して、和解をしていくことになりました。
毎月の返済原資が10万円で債務総額が200万円になりますので、20回払いになります。
これは特定調停で目安とされている3年以内の分割弁済をクリアーしていますので、特に和解交渉が難航することはないと考えられます。
案の定、債権者との和解交渉では、こちらが提示した和解案にすべての債権者が応じてくれました。
これで特定調停の手続きは終了となり、数日後に自宅に決定書が届きます。後は決定書にある支払い方法を実行していくだけになります。
そして、20回の返済を無事終えると、晴れて借金生活から開放されることになります。
ここで挙げた例はもっともオーソドックスなものになります。人によっていろいろな障害が出てくることがありますが、特に問題がなければこういった感じで債務整理が終了します。
しかも、自己破産や個人再生のように借金を踏み倒すわけではありませんので、後ろめたさも残りません。特定調停はとてもお勧めです。