特定調停の具体例3
ここでは、特定調停の1例を挙げることで、より具体的にこの制度について説明したいと思います。
Cさん男性、会社勤務、月収は手取りで20万円、ボーナスはなし、借入れ件数10件、約定での債務額は300万円、現在の返済額は月10万円。
Cさんの生活費は月18万円。残った2万円はすべて借金の返済に充てられますが、それでも毎月8万円足りない状態です。
返済で足りない分は借金を繰り返すことでまかなってきましたが、最近では消費者金融の審査も通らなくなり、このままでは自己破産しかないと思っていました。。
しかし、Cさんは債務整理に関する解説本を読んで、利息制限法に引き直すと自分の借金はゼロになるのではと考えました。
Cさんが取引している10社とはもう10年ほど取引していますので、過払い金が発生している可能性が高くなります。
過払い金を返してもらおうとは思いませんが、せめて今ある借金をゼロにしたいとCさんは考え、特定調停を申立てることにしたのです。
特定調停を申立てると、すべての債務がゼロになり、債務不存在という決定書が自宅に届くことになりました。
債務不存在とは、債務がないということを表す言葉になりますが、債権の存在については言及されていません。そのため、債権である過払い金返還請求をすることはできるということです。
しかし、Cさんはもともと借金をゼロにしたかっただけで、過払い金を返してもらおうとは思っていませんので、その権利を行使することはありませんでした。
ちなみに、特定調停で過払い金の返還請求権を放棄すると、決定文には、相互に債権債務がないことを確認するという一文になります。
Cさんのように、300万円あった借金がゼロになることも特定調停ではあります。取引期間の長さによって減額される金額が変わってきますので、覚えておきましょう。