抵当権の実行
貸金業者によっては、借金をするのに土地や建物を担保とすることを要求されます。土地や建物を担保とすることを、抵当権の設定や根抵当権の設定と言います。
貸金業者の場合には、根抵当権が圧倒的に多いと思います。根抵当権と抵当権の違いは、抵当権が1回の借入れに有効なのに対して、根抵当権はあらかじめ決めておく極度額の範囲なら、すべての借入れに有効となるからです。
消費者金融業者を中心とする貸金業者では、融資枠内なら繰り返し借入れと返済ができる包括契約が主流となっていますので、根抵当権が多くなるのです。
抵当権や根抵当権を設定している借金の返済が滞った場合には、貸金業者はすぐ抵当権を実行して回収をするというわけではありません。
債務者に対して再三請求したにもかかわらず、それでも債務者が返済をしないときに、抵当権を実行することになります。
抵当権を実行すると、担保となっている土地や建物が差押られ、競売に出されてしまいます。貸金業者は競売で得たお金を借金に充てて回収するということです。
ただし、競売で得た金額が借金の額よりも少ないときには、足りない分を債務者にその後請求することになります。
債務者にとっては、抵当権を実行されると、住んでいる家を失い、路頭に迷うことになります。
無担保無保証の消費者金融からはなるべくお金を借りないようにとはよく聞きますが、担保契約についてはもっと慎重に考えるべきだと思います。
無担保無保証では、返済ができなくなっても自己破産や個人再生といった方法で借金を解決することができると思いますが、担保契約の場合には、返済ができなくなると選択の余地なく家が競売に出されます。
個人再生法では自宅を維持しながら債務整理をすることができます。こうした法律があるのですから、担保でお金を借りることはあまりしないほうが良いと思います。