これが買取屋の実態だ
これは私が消費者金融業者に勤務していたときに、あるお客さんから聞いた話です。
そのお客さんをAさんとします。Aさんは借入件数が10件にもなる多重債務者でした。しかし、サラリーマンで収入が安定していて、毎月の返済はしっかりとしている人でした。
ところが、ある日電話があり、今月の支払いを少し待ってほしいと言ってきたのです。Aさんは今まで延滞になったことがない人で、しかもAさんのほうから連絡を入れてきていますので、私は快諾しました。
でも、どうしてなのかと思い、Aさんに理由を聞いてみました。すると、Aさんは涙ながらに話をしてくれたのです。
Aさんは子供の学費のためにどうしても入用で、消費者金融業者への返済が一時的に厳しくなったそうです。ボーナスまでしのぐことがAさんの目標だったそうです。
しかし、借入件数が10件あり、Aさんはどこからも融資を受けられないと考えます。それでも何とかしなければと思っていたところに、即金融資しますという看板を出したお店を発見したそうです。
そこでは、指定したお店で指定したものを買って持ってきてくれれば、買値の9割で買い取るということでした。消費者金融業者の金利が年3割なので、1割で即金はありがたいと考えたAさんは、早速手続きしたそうです。
指定されたお店は少し怪しかったものの、言われたとおりにして戻り、買い取ってもらおうとしたところ、そのときになって買値の4割でしか買い取れないと言われたのです。
何でも、Aさんが買いに行っている間に、同じものを売りにきた人がいたそうで、在庫は1つで十分だが、Aさんと約束した手前、追い返すわけにはいかないから、仕方なく買値の4割で買い取ってあげるというのです。
Aさんは当然文句を言いましたが、親切で買い取ってやろうというのに、それなら買い取らないと脅され、しぶしぶ買値の4割で買い取ってもらったのです。
結局、Aさんは10万円のカードを切り、手元に4万円しか残らなかったのです。そして、翌月になってクレジットカードの10万円の返済がきて、窮してしまったということだったのです。
このケースでは、たんにAさんは6万円を買取屋に取られてしまっただけで、大損していることになります。甘い言葉に乗ってしまったAさんは、少し軽率だったと思います。
もちろん、買取屋が悪いのは言うまでもありません。