任意整理から自己破産へのケース
任意整理から自己破産に移行するケースがあります。ここでは、消費者金融業者で勤務していた私の経験からもっとも多いケースを紹介したいと思います。
Aさんは消費者金融業者から多額のお金を借りています。それでも、何とかやりくりすることで、返済ができなくなる事態だけは回避してきました。
しかし、Aさんの勤めている会社の経営が急に悪化し、突然倒産してしまいます。Aさんは退職金ももらえず、高齢のために次の仕事もすぐには見つからない状態です。
明日の生活もままならないAさんは、とにかく借金を何とかしなければということで、親族に相談します。Aさんの親族は、100万円を援助するからそれで何とか解決しなさいということでした。
Aさんは弁護士に相談し、100万円の返済資金で任意整理を依頼します。早速弁護士はAさんの借金を利息制限法に引き直しましたが、債務総額で200万円残ってしまいます。
弁護士は、債務額50%の一括弁済で和解してほしいと各債権者にお願いしましたが、残念ながら数社の貸金業者から和解を拒否されてしまいました。
Aさんには親族から援助された100万円しかこれといった財産もなく、無職で収入もありません。残された道は自己破産しかなく、Aさんは止むを得なく自己破産することになりました。
このケースのポイントは、Aさんに収入がないことです。債務者に収入がなく過払い金もないなら、基本的に自己破産でしか借金を解決する方法はありません。
Aさんは親族からの援助がありましたので任意整理を行うことができましたが、あくまでもその援助金で債権者らと和解ができなければ、自己破産に移行するしかないということです。
こうしたケースはたくさんあります。債務者本人に収入がない場合には、基本的には自己破産を覚悟したほうが良いでしょう。