何を言っても無反応
私の同僚が1番腹を立てていた延滞者は、何を言っても無反応な顧客でした。無反応と言っても、正確には返事だけはするということです。
督促の電話を受けた延滞者が、周囲に知り合いがいるために返事だけになることはよくあります。借金をしていることは周囲に知られたくありませんので、これはよくわかります。
でも、そうではなく、周囲に誰もいないときでも、その延滞者は返事だけしかしないのです。
いつ入金するのか聞くと、「またします」です。またとはいつなのか聞くと、無言です。明日までに入金してほしいと伝えると、「はい」と言います。でも、翌日になっても入金は確認できません。
こんなやりとりを繰り返すのです。お金がないならないで、返済できないならできないと言ってほしいぐらいです。
同僚がこの延滞者に説教をしたことがありますが、まったく相手に響いている気がしなかったと言っていました。相手が話を聞いているのかどうかはわかりますよね。この延滞者は全然話を聞いていないと言うのです。
同僚はかなりこの延滞者に腹を立てていました。そのため、ときには声を荒げることもありました。でも、その延滞者は静かに「はい」と答えるだけのようで、それがさらに怒りを煽ることになるのです。
この延滞者の態度は、同僚からすると人を小馬鹿にしているように感じるようです。それはそうですよね。入金すると言っても入金しないですし、何を言っても「はい」としか言わないのですから。
結局、この延滞者は自己破産しました。同僚はこの自己破産を知って、ストレスから解放されたと喜んでいました。