団地金融
初期の消費者金融業は、団地金融とも言われていました。厳密に言えば、消費者金融の中で、団地金融という手法を用いている業者がいた、ということになるかと思います。
消費者金融が発案されたのは、日本が高度経済成長期のころです。このころ、大都市近郊にはたくさんの団地が建設されました。
大都市近郊に建てられた団地に住むことは、当時の人にとってはとてもステータスになることでした。団地に入居するためには所得の証明が必要で、高所得者であり安定した収入の見込める人のみが入居を許されていたのです。
消費者金融業者からすれば、まさに顧客としたい人たちばかりが入居しているということです。消費者金融業者にとって、団地とはまさに宝の山だったのでしょう。
団地に住んでいるのは大企業に勤めている人や公務員です。しかも家族を持っていますので、自分の給与が高いといっても小遣いも多いとは限りません。
高度経済成長で娯楽も急激に増えていた時代、社会の中で働く人にとって、どれだけあってもお金は足りなかったと思います。
団地金融では、対象者の全てが優良顧客になりますので、営業をかけるにも全く無駄がありません。団地のポストにDMを配布するだけで、申し込みが多数期待できたのです。
また、存在している消費者金融業者が、どれも中小企業や個人事業だったことも、そうした団地金融が成功した理由だと思います。
今のように大手の消費者金融業者がばんばん宣伝していては、聞いたことのない消費者金融業者のDMがポストに入っていても、ゴミ箱に捨てられるだけですよね。
団地金融は、消費者金融業がここまで大きくなる上で、とても大きな役割を担ったと思います。この団地金融というビジネスモデルによって、消費者金融業者の数は飛躍的に多くなったのです。