法改正による金利の引き下げ
平成18年12月13日に成立し、平成18年12月20日に公布された貸金業法の改正内容は、消費者金融業界に大きな衝撃となりました。
改正内容は、従来の貸金業法の全体に及び、6年振りに貸出金利の上限が引き下げられました。
ただ、貸出金利の上限が引き下げられるのは、公布から3年以内を目途とするという内容だったので、大慌てで何か対策を打たなくてはならないという切羽詰った状況にはなりませんでした。
公布から実施日までの間も、貸金業法の改正内容については議論され、改正内容については逐一変わるかもしれませんので、消費者金融業界としてはこの間ずっと神経質にならざるを得ません。
消費者金融の現在の貸出金利の上限は、出資法の上限金利である年率29.2%となっています。
しかし、実際には利息制限法で定める上限金利の年率20%を超えれば、超過分は無効とされていますので、法改正されることでその歪みが取り除かれることになります。
これまでは、利息制限法の上限金利を超えても刑事罰や行政処分の対象とはならず、出資法の上限金利を超えたときに刑事罰や行政処分が適用されていました。
それが、法改正によって、利息制限法を超える貸付金利で営業した場合には、刑事罰や行政処分の対象になるようになったのです。
実際に上限金利が引き下げられた場合、ほとんどの消費者金融の収益は赤字に転落すると言われています。
消費者金融の貸付額で1番多いのは10万円以上50万円以下になりますが、この貸付金額での利息制限法の上限金利は年率18%になります。
消費者金融が営業してきたのが年率29.2%になりますので、上限金利が年率18%になれば実に利息収入が6割になるということです。
消費者金融を営むのには人件費や店舗家賃、光熱費、システム代金、電話代、送信代などの経費がかかります。さらに、自己資金で貸付しているわけではありませんので、調達金利も発生します。
利息収入から経費を差し引いた2割が実際の利益だったとすると、今までの利益がまるまる赤字になるということです。
これまでと同じように営業していれば間違いなく利益がでませんので、消費者金融業界としては新たな体質作りに励まなくてはいけません。
ただ、廃業したほうが良いと、誰でも考えると思いますが。