過剰貸付に走る消費者金融
多重債務者がこれだけ増えた原因の1つに、消費者金融業者の過剰貸付があるの間違いないと思います。では、なぜ消費者金融業者が過剰貸付に走ってしまうのかを説明します。
例えば、貸付の審査基準を緩くして、破綻するかもしれない10人に50万円を、年利20%で1年後の1回払いで融資をしたとします。1人が返済の前に破綻した場合、この時点での利益はマイナス50万円です。
9人は1年後に元金の50万円の返済と、金利分の10万円を支払いしたとします。破綻した分でマイナス50万円がありますから、10万円×9=90万円から差し引きして45万円が消費者金融の利益になります。
今度はより貸付の審査を厳しくして、破綻しそうにない3人に同じ条件で融資します。誰も破綻することなく1年後を向かえますが、このときの消費者金融の利益は10万円×3=30万円です。
消費者金融からすれば、絶対に破綻しない3人にだけ貸すよりも、破綻するかもしれない10人に貸して、そのうち1人が破綻したほうが利益が出るのです。
消費者金融の考え方としては、1人の破綻者が出てもいいから、3人ではなく10人に融資をしようというものです。
仮に、10人のうち誰も破綻をしなければ利益は高くなりますし、逆に2人が破綻してしまうのなら、20人に融資すれば良いという考え方なのです。
市場を大きくするという観点から行けばこの考え方もありですが、利益が高くなるなら破綻者を出しても良いという考え方でもあると思います。
多くの利用したいという人に利用してもらって、何が悪いという消費者金融業者もいるかもしれませんが、それは破綻者をできるだけ少なくするという努力を行ってから言うべきことだと思います。