過去と現在の違い
高度成長期に誕生した消費者金融業は、その後の時代の流れに合わせて姿形を変えてきたと思います。
誕生したばかりの消費者金融業は、今のように無人契約機もなければ、銀行振り込みといった貸付や返済の形もありませんでした。
全ての貸付と返済は店頭窓口で行われ、対面営業が基本だったのです。返済は今と同じで月に1回なので、借り手は消費者金融の担当者と毎月顔を合わすことになります。
消費者金融は給与所得者にお金を貸し付け、利息を得ることで収益を上げます。一方の借り手は消費者金融からお金を借り、それを分割返済にすることで利得を得ています。
双方にとって相手は求める人になりますので、仲良くなるのが自然です。しかも、毎月決まって返済日には顔を合わせますし、借り手はいろいろな相談を持ち込むことも多かったと思います。
これが現代になると、営業の仕方が大きく変わります。昔なら借り手と親しくなることで、その人の人間的な部分を見て貸付審査をすることも多かったのですが、今はどれだけ借り手と距離を置くかが営業をしていく上でポイントになっています。
店頭に行かないと融資できないというところよりも、無人契約機やインターネットで融資を受けられるほうが、多くの顧客を集められます。
貸付審査にその人の人間性が入る余地はなく、収入や借金の額という数字だけを見て判断するのが一般的です。
大手と呼ばれる消費者金融業者は、みんなこうした合理化を進めてきた企業になります。
現代と過去とでは、顧客との距離が全然違うと思います。個を相手にしていた時代から、大衆を相手にする時代に変わったということでしょうか。顧客との信頼関係を築くよりも、利益至上主義に走っているということでしょうか。
全ての業界に言えることですが、現代は、より儲けることしか考えていない大企業ばかりが、権勢を誇っているように思えます。