近年の状況
1993年の自動契約機の導入後、次々と大手の消費者金融業者が株式市場に上場して、資金力と知名度の向上を図りました。
どの業界よりも積極的にテレビCMを流し、また積極的に支店を増やして攻めの経営をしてきました。そのため、消費者金融業界の業績は年々右肩上がりを続けてきました。
しかし、サブプライム層にある程度そのサービスが浸透したことと、不景気による個人の信用情報の悪化によって、徐々に貸付口座数の増加が鈍っていきます。
2003年以降では、大手消費者金融業者の貸付口座数が減少していき、過払い金問題や上限金利の見直しなどの影響で、近年は急激に貸付口座数を減少させています。
一方、積極的な貸付の副産物として、貸し倒れ件数はここ15年間右肩上がりを続けています。
2003年をピークに自己破産件数はそれまでの右肩上がりからわずかに減少へと向かっていますが、それは民事再生法や過払い金返還請求へと破綻者が移動しただけで、実質的な破綻者は今も増加していると思います。
特に、過払い金返還請求の数は急激に増えていて、それに対する負担が消費者金融業者の利益を圧迫しているのが現状です。
今後、上限金利が引き下げられようと、過払い金返還請求が減少する目途はなく、大手であっても苦しい経営を迫られると思います。
また、そうした厳しい環境の中、廃業を決める消費者金融業者が急増しています。今後も消費者金融業者の廃業が収まることはなく、それによって利用できなくなった人たちが、ヤミ金融へと流れていく動きが活発になりそうです。
政府が何らかの対策を講じなければ、消費者金融業界の縮小とヤミ金融業界の拡大を食い止めることはできないでしょう。