商工ローン問題
消費者金融業界のコンプライアンスが問われ始めたのは、2000年の商工ローン問題があってからだと思います。
商工ローン問題とは、事業者金融会社の日栄による過剰貸付と過酷な取立て行為が露見した事件のことで、消費者金融業界のみならず、世間にその問題が大きく取り上げられ、社会問題にまで発展しました。
日栄の被害者が日栄の電話督促を録音し、それがマスコミを通じて世間に流されたこの事件では、「肝臓を売って借金を返せ」「死んでお詫びしろ」などなど、やくざまがいの督促の実体が明るみになりました。
世間の人は、当然のように他の商工ローン会社や消費者金融業者でも、同様の厳しい取立て行為が行われていると思ったとことでしょう。
この事件で、消費者金融は怖いところというイメージを世間に広く浸透させることになります。
さらに日栄では、連帯保証人への常識を超えた厳しい取立てをしていたということまでわかり、世間は仰天し、消費者金融業界は青ざめることになります。
日栄のようなヤミ金融並みの取立ては珍しいかもしれませんが、当時の消費者金融でもそこまでではないにしろ、延滞者を罵倒するなどの取り立て行為はされていました。
うちも電話督促を録音されていたらと、ぞっとした消費者金融業者も多かったと思います。
消費者金融というのは、世間ではあまり評判はよくありません。一部の悪質な業者の行為は、業界全体がそうだと思われても仕方がないと思います。
商工ローン問題の後、消費者金融への取り締まりは今まで以上に厳しくなり、多くの消費者金融業者が取り立て行為を自主的に改善していきますが、それでも全ての業者が改善に取り組んだわけではありません。
その後も、大手の消費者金融での取立てが問題となるなど、なかなか業界全体が浄化されずに、今に至っています。