総量規制
平成18年の貸金業法の改正の目玉は、何と言っても貸出金利の引き下げと総量規制になると思います。
消費者金融業界の外では、貸出金利についていろいろな議論がされて注目されていますが、消費者金融業界にとって本当に死活問題となるのは、実は総量規制なのです。
総量規制が導入されると、総借入残高が年収の3分の1を超えた貸付が禁止となります。これを債務者側の立場で言えば、年収の3分の1までしか借金することができないと言うことになります。
消費者金融を利用する層は、年収が400万円以下の人がほとんどです。いわゆるサブプライム層である低所得者が消費者金融を利用しているのです。
例えば、年収が300万円の人は、100万円までしか借金をすることができなくなるということです。現在は年収が300万円の人なら、300万円ぐらいまでは楽に借金することができますので、この差は大きいと思います。
消費者金融業界にとっては、総量規制によってその市場を大きく縮小させられることになるのです。
そして、消費者金融を利用する人は、まずは知名度のある大手や準大手の消費者金融業者から借入れを始めます。
極端な話、最初に借入れを申し込まれた消費者金融業者が年収の3分の1を貸付してしまえば、もうどこもその人には貸付することができないということです。
貸すほうとすれば、今までのように利用者がお金を借りまくって破綻するというリスクがなくなりますので貸しやすいですし、どうせ他社で年収の3分の1までは借りるのだから、全部自分のところで貸したほうがお得となるのです。
これは極端な話ですが、現実でも消費者金融業者3社も利用すれば、もう年収の3分の1を超えてしまうと思います。
つまり、借入れの申し込み順位が3番目よりも低い中小の消費者金融業者にはお客が回ってこないということで、総量規制の導入によって大手しか生き残ることができないということになります。