エリートサラリーマンから大衆へ
どの業界も同じですが、市場が拡大期を迎えるときには、必ず大衆化が起こります。消費者金融業界も、当初こそ顧客1人1人にしっかりと接してきたものの、市場が大きくなるにつれて、営業転換を迫られることになったのです。
それまで、顧客対象はもっぱら公務員かエリートサラリーマンに限られていました。彼らは信用が高く、貸し倒れとなることもほとんどありません。
そうした信用力が高い限られた人たちを相手にしていた消費者金融業は、市場の規模拡大のために、その対象を徐々に広げていきます。
大企業に勤務するサラリーマンから中小企業に勤務するサラリーマンへ、自営業者、主婦、フリーター、学生と、現代では消費者金融を利用できない職業の人はいません。
こうした大衆化は、消費者金融業界の市場を大きく拡大することになりましたが、その反面、多重債務者問題を引き起こすことになったのです。
消費者金融が誕生したころは、顧客を破綻させないように細心の注意をし、他社での借金がある人には融資をしないということも多くありました。
しかし、それが利益重視になって大衆化することで、貸し倒れようがどんどん融資するという姿勢に変わったのです。
1件貸し倒れするなら、その分余分に他で融資するというのが基本的な考えで、ある意味では自転車操業にも似ていると思います。とにかく貸して貸して貸しまくることで、貸し倒れによる損失を吸収しようと言うのです。
今度法改正で上限金利の引き下げや総量規制が行われますが、それをしなかったとしても、市場が成熟してしまった以上、これまでのような営業では多くの消費者金融業者が破綻していくと思います。
これからどう方向転換するかで、消費者金融の運命は決まると思います。