消費者金融の前身は質屋
1960年ごろから始まった高度経済成長期に、消費者金融業は誕生したと言われています。消費者金融業と言うと、お金を貸すところになりますので、銀行に近い業務形態だと思います。
企業や個人事業者にお金を貸すのが銀行であり、一般消費者にお金を貸すのが消費者金融ですよね。
でも、この高度経済成長期の個人の資金需要を上手くビジネスとして取り込んだのは、実は銀行ではないのです。
今になって、銀行は消費者金融業をせっせと取り込んでいると思いますが、これは消費者金融の前身が銀行ではなかったからなのです。
では、消費者金融の前身は何だったのかと言うと、それは質屋になります。
高度経済成長期では、給料も急激に上がっていきましたが、物価も急激に上がっていました。そのため、日々の生活を送るのに大変な人も多く、そうした人が当面の資金を得るために質屋を利用していたのです。
質屋業では、着物や時計などを担保に少額の金銭を貸し付けていましたが、自分の財産を担保にして借金をするという行為は、格好の良いものとは思われなかったようです。
そこで発案されたのが消費者金融業のビジネスモデルであり、財産を担保としなくても、自分の信用でお金が借りられるというのは、当時のサラリーマンにはかなりうけたようです。
消費者金融では、質屋と違って担保に何かを差し出す必要はありません。そのこと自体がうけたというよりは、対人信用でお金を借りられるという自分のステータスとも感じられるスタイルがうけたようです。
質屋業は庶民金融と古物販売業という2つの側面を持っていますが、その庶民金融部門を発展させたのが、消費者金融業ということです。