自己破産と生命保険
生命保険は掛け捨てのものではない限り、普通は解約すれば解約返戻金として一定の金額を受け取ることができると思います。そのため、解約返戻金が発生する生命保険については、立派な財産と呼べると思います。
自己破産をすると、最低限の生活に必要なもの以外の財産については、破産申し立て者の財産を管理する権利を持つ管財人によって換金され、債権者への配当に充てられます。
自己破産を申し立てたときに、本人が解約返房金のある生命保険を契約していれば、管財人がその生命保険を解約して解約返房金を債権者へ配当します。
ただ、その解約返房金の金額によっては、生命保険が解約されず、破産してもその生命保険の契約をそのまま続行できることもあります。
生命保険を解約されるかそのまま維持できるかは、解約返房金の金額によりますが、その金額については各裁判所の運用によって違いますので、一概にこうだとは言うことができません。
裁判所の運用内容については裁判所によっても変わりますし、時代とともにも変更されていくものです。
この裁判所では解約返房金がいくら以上だと債権者への配当になる、ということを今言っても、それが数ヶ月先、または数年後も同じとは言えません。
解約返房金が少額になることを祈るよりも、生命保険は解約されるものだと思っておいたほうが後々気が楽だと思います。
ただ、発病して近い将来入院が予定されているという場合や高齢など、どうしても生命保険を解約したくないときには、破産の決定後に解約返房金と同額を積み立てて配当に回すなどの処置で、生命保険を解約せずに済むこともあります。
また、平成3年4月1日よりも前に契約している生命保険の解約返房金は、債権者への配当に充てられないということが法律できまっています。
自己破産で生命保険は解約となるものですが、必ずしも解約になるわけではないということを覚えておきましょう。