自己破産で役員を辞めなくてはならない
自己破産で受ける社会的な制限の中には、株式会社の役員や合名・合資会社の社員、法人の理事にはなれないというものがあります。
破産者が破産の決定から7年間をすぎるなどで復権した場合には、これらの制限は解除されますが、そうでない場合にはこの制限を受ける他ありません。
株式会社の役員である取締役や監査役、清算人の地位にいる人が自己破産をした場合には、その職を辞めなければならないのです。
これは、一社員が自己破産のみを理由として解雇されないということとは、全く話が違ってきますよね。一社員が労働者として雇用者に対し労働力を提供して賃金を得ているのに対して、役員は会社の財産を管理するのが仕事です。
そのため、会社の運営や財産を管理する立場の人間が、財産管理能力に疑問を持たれる破産者ではいけないというのです。
自分の財産も管理できない人間が、もっと大きな会社の財産を管理できるわけがないというのです。そう言われても仕方がないですよね。
また、役員は会社の経営を任せられているとともに、その責任についても負っています。株式会社であれば、仮に職務を怠ることで会社の財産を著しく損失した場合には、当然株主に対してその責任を問われることになります。
責任を問われるというのは、たんに質問されるということではなく、それによって被った損害を弁償するということでもあります。そうした立場にある人が破産者で個人財産がないというのでは、株主は納得できませんよね。
破産に関しては、会社の役員と社員とでは考え方がまるで違ってきますので、この点は注意しなければいけません。