少額管財
平成16年6月に破産法が改正され、破産者に対する債権者の給与差押ができなくなりました。
破産の申し立てをすれば借金が即ゼロになるというわけではありません。借金の返済を免除されるのは、免責が認められてそれが確定してからになります。
破産の申し立てから、早い人でも3ヶ月は免責の確定までにはかかると思います。少しややこしい案件の場合には、半年ほどかかることもよくあります。
改正法前では、そこに注目した債権者が訴訟を起こし、免責が確定するまでの数ヶ月間の給与を差押するということが行われていました。
しかし、この給与差押は同時廃止事件の場合にのみ有効な方法で、管財事件となれば破産者の財産は破産財団に全て組み込まれますので、給与を破産財団に組み込むことで差押を防ぐことができたのです。
ただ、管財事件とすると破産手続きが長引き、破産者にとってはあまり良いこととは言えないと思います。
そこで考え出されたのが小額管財事件です。少額管財事件では管財事件の性質を持ちつつも、手続き上簡単に終わるというもので、東京地方裁判所の運用によって導入された制度になります。
小額管財を選択すれば給与の差押を回避できるということで、給与の差押を受けそうな人が好んで選択するケースがよくありました。
法改正によって、今では破産の同時廃止事件においても給与の差押ができなくなっていますので、小額管財事件にする必要性はあまりないと思います。
小額管財のように、裁判所の運用によって導入される制度もありますので、今後もいろいろと新しい制度が導入されるかもしれません。