退職金の扱い
退職金の自己破産での扱いは、すでに退職金をもらっている場合、退職はすでにしているがまだ支給前の場合、まだ退職していない場合によって、裁判所での運用の仕方が変わってきます。
また、破産者には破産手続き中でも債権者への配当へ回さず、自分のお金として持つことを許された自由財産が認められています。
そのため、退職金がその自由財産で決められた上限を超えない場合など、少額になる場合には配当すべき財産とはなりませんので、特に自己破産の影響を受けることはありません。
すでに退職をしていて、退職金ももらっている場合には、退職金は現金や預金と同じですので、破産管財人に管理されて債権者への配当に充てられます。
ただし、退職金が少額な場合や自由財産の上限金額に満たない場合などでは、破産の手続き中でも手元に置いておくことができます。
退職はしているが、退職金の支給前に自己破産を申し立てたという場合には、退職金の4分の1が破産管財人に没収されて債権者への配当に充てられます。
逆に言えば、退職金の4分の3は手元に残すことができるということです。そう考えると、退職金の金額にもよりますが、退職金をもらう前にさっさと自己破産するほうがお得だと言えます。
最後に、まだ退職していない場合には、破産の決定時に見込まれる退職金の8分の1を破産管財人に支払う必要があり、破産管財人はそれ債権者への配当に充てます。
退職金支給前の4分の1よりもさらに少なくなるわけですが、これは勤務先の倒産や懲戒解雇などで退職金がもらえない可能性があることが考慮されていると言えます。
また、他の場合と同じように、退職金の8分の1が基準額に満たないほど少額な場合には、破産管財人に支払う必要はありません。
ここで紹介した退職金の取り扱いは、あくまでも一般的な裁判所での運用方法であり、実際には破産者の状況を個別に判断されて決められますので、必ずしもここで紹介された通りになるとは言えませんので、注意してください。