貸金業者の帳簿保管義務
過払い金でもっとも重要になってくるのは、貸金業者に取引履歴を開示させることで間違いないと思います。取引履歴を開示させれば、過払い金の返還請求はほぼ達成したと言っても良いぐらいです。
顧客からの取引履歴の開示請求には、貸金業者は応じなければならないという法律があります。
この法律があれば、貸金業者に取引履歴の開示をさせることは簡単だと思うかもしれませんが、必ずしも簡単だとは言い切れない事情があります。
それは、貸金業規制法の帳簿保管義務に関係してきます。
貸金業規制法では、帳簿には債務者ごとの貸付契約年月日や貸付金額、受領金額などを記録して、それを保管しておくことを貸金業者に義務付けています。
しかし、未来永劫顧客1人1人の帳簿を保管しておくことは不可能なので、最終弁済日から3年が経過していれば破棄してもかまわないとしています。
そのため、実際には帳簿を破棄しないで保管していても、最終弁済日から3年を過ぎている分については、顧客から取引履歴の開示請求をされても、破棄して開示できないと言う貸金業者があります。
すべての貸金業者がとは言いませんが、こうした貸金業者はかなり多いのではないかと思います。
法律で破棄しても良いとなっていますので、破棄自体は責められませんので、過払い金の返還請求者としても貸金業者を非難することができません。
ただ、中には本当に破棄しているところもあると思います。
現に私が勤務していた消費者金融業者では、コンピュータが当時まだ導入されておらず、紙での帳簿の保管場所には限界がありましたので、焼き芋を焼くのに燃やしていました。