実をとるか義をとるか
世間で知られている過払い金についての見解は、ほとんどがクレサラ系弁護士によるものです。クレサラ系弁護士によれば、貸金業者は違法金利で営業しているから契約は無効で、過払い金を請求して払いすぎたお金を取り戻そうになります。
これは確かに正しい意見だと思います。法律を守っていない貸金業者が悪いのは明白で、過払い金を返還するのは当然だと思います。
ただ、貸金業者からすれば、これまで法律を遵守して金融庁の監督の下で真面目に営業してきたが、突然裁判で違法だと言われ、今さら過払い金を返せと言われても困る、ということになります。
さらに、初めから返還しなければならないとわかっていれば、金利を下げたり手数料をとったりと、営業の仕方も変わっていた。利息制限法の上限金利に見合うリスクの人だけに融資してきた、ということにもなると思います。
両者の主張がかみ合うことは一生ないと思います。
では、過払い金を返してもらえる借り手はどうでしょうか。
借金がゼロになってお金を返してもらえるなんて、超ラッキーと思う人もいれば、約束を破るような行為は大人としてしたくないという考えの人もいると思います。
過払い金の請求を悪く言えば、バーゲンで買ったものがもっと安くなっているのを1週間後に見つけて、差額分を返せと言っているのと同じになります。
貸金業者が設定した金利に納得して借りたものを、後からそれは納得できなかったというのが、過払い金です。
お金という実をとるのか、約束は守らなければいけないとして義をとるのかは、本人の考え方次第です。
しかし、この義の考え方だと、ヤミ金融にもしっかりと返済しなければいけないことになります。ヤミ金融の考え方は、違法だと知っていても納得して借りたんだから、きちんと返しなさい、というものだからです。