なぜ取引履歴が必要か?
貸金業者は取引履歴を開示する義務がありますが、それは利用者が求める場合に限ります。つまり、利用者が取引履歴の開示請求をしなければ、貸金業者は取引履歴をわざわざ開示しないということです。
貸金業者にとっては、利用している顧客全員の取引履歴を出し、一人一人に本人分の取引履歴を送付することは、とても負担になります。あまりの数に、人的ミスによって他人の取引履歴を送付してしまったら、大問題にもなります。
さらに、取引履歴を送付することは貸金業者にとってプラスになることはなく、過払い金を請求されるリスクが高まるだけです。しかも、過払い金は、相手から請求がなければ返還しなくても良いのです。
そのため、過払い金が発生している顧客に対して、貸金業者が自発的に取引履歴を開示することはありません。
取引履歴には過払い金を計算する上での全ての資料が揃っています。取引履歴を手に入れれば、簡単に過払い金を計算することができるのです。
貸金業者からの取引履歴がなくても、自分で通帳や領収書、契約書などで、過払い金を計算することもできないことはありませんが、取引履歴に比べて煩雑な作業が必要になり、正確に計算することも難しくなります。
過払い金が発生するのは、貸金業者との取引が5年以上あることや、完済していることが前提にあります。取引中に何回も融資を受けていることも多く、返済回数が60回以上にもなるのです。
それだけたくさんの資料を個人で保管していることはほとんどないと思います。過払い金を請求してもらうには、まずは過払い金がいくらになるのかを知る必要があります。それには、取引履歴を取り寄せる必要があるのです。