市町村の過払い金返還請求訴訟の流れ
平成20年6月10日、最高裁判所は過払い金返還請求訴訟での原告側、芦屋市の主張を聞き入れた判決を出しました。
この過払い金返還請求訴訟は、税金を滞納する債務者に代わって、芦屋市が貸金業者に過払いの返還を求めた訴訟であり、市町村が債務者に代わって行った過払い金返還請求訴訟での初めての最高裁判決になります。
この判決を受けて、各市町村も貸金業者に税金の滞納者の過払い金の返還を求めることはほぼ確実で、いよいよ貸金業者の財務基盤が揺らぎそうです。
貸金業者はこれまでも、税金の滞納をしている人に代わって市町村から過払い金返還請求をされていましたが、本人の任意弁済の有無が不明だとして返還を渋ってきました。
本人が任意に弁済したのであれば返還義務はないというこれまでの常識を、今回の最高裁判所での判決が覆した形になったのです。
これによって、市町村だけではなく、過払い金がある債務者にお金を貸している人は、本人を通さなくても債務者の過払い金を差押できるということになると思います。
これは、もしかすると貸金業者同士の過払い金返還請求のやりあいに発展するかもしれません。借金を返さない顧客の過去に取引していた貸金業者を調べ、その貸金業者に対して債務者に代わって過払い金返還請求をするのです。
こうなると受付の際に、過去の取引を調べてから貸付を行うということになるかもしれません。過去の取引を聞いて、過払い金がありそうなら貸付し、なさそうなら断る。
これなら、返済の途中で行方不明になっても、債務者が過去に取引していた貸金業者に過払い金返還請求をして、債権を回収できるというわけです。
このようなことが現実に行われるようだと、大手の消費者金融業者ほど苦しい立場に立たされ、業界として成り立たなくなると思います。