推定計算
取引履歴の開示請求を何度しても、開示に応じない貸金業者もあると思います。その場合には、行政処分の申し立てをすることで、何らかの進展が期待できます。
ただ、行政処分の申し立てよりも簡単な方法もあります。それが、推定計算です。
推定計算とは、今ある資料や本人の記憶から、取引履歴を推定で作成することを言います。この推定計算では、正確な取引履歴を作成することはできませんので、過払い金の額も実際とは違っています。
しかし、過払い金の額が違っていたとしても、何も問題はありません。推定計算で作成した取引履歴を引き直し計算し、そこで算出された過払い金でも請求することは可能だからです。
え、そんなでたらめな過払い金で請求できるの?
そんなふうに思う人もいるでしょうが、いくらで過払い金を請求したって、別に法律に違反していることにはならないのです。請求は誰にでもいくらでもできるものです。ただ、その請求通りに相手が払うかどうかは別問題です。
極端な話、過払い金を1億円と言って請求することも可能なのです。その1億円の根拠は推定計算になり、推定計算を根拠とする原因は、貸金業者が開示しないからとできるのです。
1億円という過払い金を証明する必要はありません。貸金業者がその1億円の過払い金を不服とするなら、1億円ではないことを証明するのは貸金業者になるからなのです。
そのため、推定計算で請求した過払い金を否定するには、貸金業者は取引履歴を開示する必要があるのです。
ただ、推定計算で算出された過払い金が、実際の過払い金よりも少ない場合には、貸金業者は開示をせずに、請求された実際よりも少ない過払い金を支払ってきます。
そうならないようにするためには、推定計算は初回取引日をずっと以前に設定して、実際の過払い金よりも必ず多くなるようにすることです。