店頭契約で身分証明書がコピーだと
消費者金融業者に勤務しているとき、店頭に融資申込にきた人で、なぜか身分証明書の原本ではなく、そのコピーを持参してくる人がたまにいました。
他の貸金業者に原本を提出する可能性のある住民票は、コピーでもわからなくはありません。
でも、運転免許証や健康保険証といった、本来現物を携帯しているのが当たり前のものについては、コピーというのは違和感があります。
家族に借金が知られてしまい、新たな借金を作らせないように、家族が身分証明書を保管しているという理由が考えられますが、貸す側からすればお金を貸して良いものかと不安になります。
実際、なぜ身分証明書がコピーなのかを聞くと、そうした家族にという理由が大半を占めています。
正直に身分証明書がコピーの理由を教えてくれた人に対しては、多少不安ですが、それだけで融資をお断りにすることはありませんでした。
消費者金融業者で勤務していると、多少なりとも相手が嘘をついているのかどうかがわかるようになりますが、それも絶対ではありませんので、その人が正直に言っているのかどうかは勘でしかありません。
そして、相手が嘘をついていると感じたときには、他の条件が良くても、その時点で融資をお断りします。
身分証明書の現物を提示されれば間違いないことでも、それがコピーになるとその情報が正しいのかどうかが疑わしくなります。
コピーというのは簡単にその書類を偽造できるもので、生年月日をいじったり、名前をいじったりということが簡単にできます。
生年月日をいじってまったくの別人になることも可能で、その場合にはその人が多重債務者だったとしても、貸す側にはわからないのです。
貸金業者では、申込者が身分証明書のコピーしか持参しなかったときには、そうした身分証明書の偽造があるかもしれないというこを疑ってかかります。
その疑いが晴れなければ、どれだけ良い条件の申込者だったとしても、融資をすることはありません。