可処分所得の1例
給与所得者等再生で重要になってくるのが、可処分所得です。ここでは、可処分所得の1例を紹介したいと思います。
居住地が東京都文京区のAさんを例にとることにします。Aさん(40歳)の家族は専業主婦の妻(38歳)と中学生の子供が1人です。
Aさんの収入は、税金や社会保険料を差し引いた手取り額で年間600万円だとします。妻は専業主婦ですし、子供は中学生なので、世帯収入はこの600万円になります。
可処分所得は、手取り収入から政令で定める生活費を差し引きした金額になり、給与所得者等再生では、この2年分の金額が最低弁済額になっています。
政令で定める生活費は、まずAさんが48万8千円、妻が49万9千円、子供が60万1千円の合計である158万8千円が個人生活費が基本になります。
それに、世帯別生活費が70万3千円、冬期特別生活費が2万7千円、住居費が83万5千円、勤労必要経費が55万5千円を足した合計の370万8千円が、Aさんの政令で定める生活費になります。
Aさんの手取り収入が600万円になりますので、そこから生活費の370万8千円を引いた229万2千円の2年分の458万4千円が、Aさんが給与所得者等再生を利用した際の最低弁済額になります。
給与所得者等再生では、これを3年間で支払うのが基本になりますので、毎月の返済額は約12万7千円になります。仮に支払い期間を5年にしても、毎月約7万6千円を弁済しなければいけません。
東京ということで家賃が10万円を超えたり、住宅ローンの毎月の返済額が10万円だったなら、相当家計は苦しいと思います。と言うより、現実的には再生計画案通りにすることが困難で、給与所得者等再生が難しいと思います。
借金が800万円あったとしても、小規模個人再生ではその2割の160万円を弁済すれば良いのですから、458万4千円を弁済しなければいけない給与所得者等再生を選択することはないですよね。