企業の破産は混乱を招く
多くの企業は、銀行などの金融機関や出資者となる個人からの資金提供で運営されています。
企業が倒産になると、それは個人で言うところの破産になりますので、その企業が抱えていた全ての借金を踏み倒すことになります。
個人であれば、資金提供者のほとんどは消費者金融業者になると思います。世間のイメージが悪くなるのを極端に避けたがる消費者金融業者は、借金を踏み倒されてもあまり文句を言いません。
個人であれば、自己破産してもそれほど問題が発生することはないのが普通だと思います。
ところが、これが企業になると、資金提供者の怒りはかなりすごいものになるようです。貸付の金額が個人に貸すときよりも高額なため、そういった現象が起こるのかもしれません。
また、企業が破産すると、企業が所有している財産の取り合いが債権者の中で起こることもあります。とにかく、企業の破産には様々な混乱が予想されるのです。
その点、民事再生では一般的にはそうした混乱は起こりません。そのため、少しでも再建の可能性が残されているのなら、無用な混乱を招く自己破産よりも、個人再生のほうが断然有利で使い勝手が良いと言えます。
個人再生では、主な債権者である消費者金融がもう少し自己破産に対して積極的に反対する姿勢を見せれば、企業の民事再生と同じように混乱を回避する役割ともなるかもしれませんが、現在はそういった動きはありません。
法律の趣旨は同じであるのに、置かれている状況が違うと言うだけで、個人再生と企業の民事再生とでは随分と違った役割を担っているのです。
ただ、今後の流れがどうなるかによって、その役割が変わってくることも当然あると思います。