強制執行などの中止命令
個人再生には、申立人が住宅資金特別条項付きの個人再生手続の申立てを行った場合で、裁判所がその手続きについて認可の見込があると判断したなら、競売手続きの中止命令を出してもらえる制度があります。
マイホームを守るために個人再生を申立てても、守るマイホームが個人再生の手続き中に競売に出されて売れてしまえば、何のための申立てかわからないと思います。
個人再生の申立てよりも先に競売手続きが始まっていた場合、裁判所からの中止命令でその手続きを中止させることができます。そして、住宅ローンの債権者の意見聴取が行われ、1ヶ月程度審理されることになります。
ここで、住宅資金特別条項を適用した個人再生の認可が現実味を帯びてくると、マイホームの競売を阻止できるというわけです。
また、消費者金融業者などの債権者に、給与の差押を受けている場合にも、この中止命令は有効です。こちらの場合には、住宅資金特別条項とは関係がありませんので、通常の個人再生手続きをしているならОKです。
この中止命令を裁判所に申立てれば、通常で2、3日でその債権者に中止命令を出してもらえますし、東京地方裁判所なら即日出してもらえることもあります。
給与の差押を受けているから、個人再生をしても意味がないと勝手に誤解して、債権者の強制執行のなすがままになっている人もいるようで、こうした知識はしっかりと吸収しておかなければいけないと思います。
債権者から給与の差押や競売といった強制執行を受けている場合には、個人再生手続をすると同時に、強制執行などの中止命令の申立てを合わせてすることが大切です。