完済しているのに強制執行されたら
完済しているなら、強制執行を受けることはないのが普通です。しかし、行き違いや勘違い、債権者側のミスなどいろいろな理由によって、完済しているのに強制執行を実行されることがあります。
そのような場合どうするか。強制執行はたんなる債権者の請求とは話が違い、国が債権者の権利を守るために行使する公的な手続きです。
そのため、口で止めるように言うだけでは、事態が改善されないことが多くなります。しかも、強制執行が止まらなければ、自分の財産がどんどん差押られて回収されますので、早急に手を打つ必要があります。
すでに完済しているのに強制執行された場合には、請求異議の訴えを裁判所に提起します。そして、同時に強制執行停止の申し立てを行います。
民事執行法では、強制執行に理由がない場合に備えて、異議を申し立てる制度が用意されています。それが請求異議の訴えになり、ここですでに完済になっている事実を主張することになります。
強制執行を申し立てた債権者にそれについての反対意見があるなら、裁判所がどちらの主張が正当なのかを判断してもらうことになります。
債権者側の主張が正当だと判断された場合には、当然訴えは認められません。その場合には、完済していなかったということですね。
また、請求異議の訴えでは、その請求が正当ではないということを認めてもらうだけなので、それ自体には強制執行を止める効力はありません。
そこで、強制執行停止の申し立てを行わなければいけないのです。
裁判所が絡むと少し難しくなりますが、自分の大切な財産を守るためには必要なので、頭の片隅には止めて置くようにしましょう。
実際にそのような立場になった時には、裁判所に電話して相談すると良いと思います。