妻は行方不明の夫の借金を払うべきか
夫が借金をして蒸発するということは、世の中にはたくさんあります。
夫の借金を妻が了承している場合には、別にその借金が払えなくなったとしても、蒸発まではいかないのが普通ですが、妻に借金が内緒だった場合には、蒸発という手段も多くなります。
そして、夫が蒸発したのとときを同じくして、妻のもとに複数の貸金業者からの連絡入るのが普通です。
貸金業者にとっても、顧客が行方不明で連絡が取れなくなったということで、顧客の妻と同じように困った状態なのです。
貸したお金が返ってこないわけですから、ある意味強盗にあったと同じです。本人を必死に探すのは当たり前です。
貸金業者が顧客の奥さんに連絡をしてくるのは、ほとんどが本人の行方を聞くためです。貸金業者にはわからなくても、一緒に生活していた妻なら、何かわかるかもしれないという甘い期待をかけているわけです。
しかし、貸金業者の中には、第3者である妻に対して、夫の借金を支払うように言ってくるところもあります。
直接的には言ってこなくても、論理で武装した担当者に、上手く言い包められることもあると思います。
ただ法律では、夫の借金を妻が返済しなければいけないということはなく、そのように第3者である妻に請求することすら禁止されています。
もちろん、夫の借金の理由が家族全体にかかわる生活のためであったり、形では夫がした借金でも、それを実際に利用していたのが妻だというときには、返済するべきだと思います。
民法には夫婦間の日常家事債務の連帯責任という法律がありますが、貸金業者が守らなければならない貸金業規制法には、親族などへの第3者への請求が禁止されています。
民法に何と書いてあっても、貸金業規制法を優先して守らなくてはいけません。
そのため、どんな事情があろうとも、妻が行方不明の夫の借金を請求されることは許されていませんので、もしそうした行為を受けたと感じれば、速やかに金融庁に連絡することをお勧めします。