行方不明者が時効になる
貸金業者からの借金に時効があるということは、利用者にはあまり知られていないと思います。しかし、貸金業者では毎日のように時効による回収不能債権が生まれています。
もっとも、本当の意味での時効による回収不能債権よりも、時効の援用をされていないが5年を過ぎている債権のほうがはるかに多いと思います。
貸金業者によってその割合は違うと思いますが、時効の援用をされていないが5年を過ぎた債権が30件あるとすると、債務者の時効の援用によって晴れて時効となる債権はそのうち1件あるかないかだと思います。
多くの人は時効の援用をしないまま、ずっと借金を放置しているのです。それは、それらの債務者が行方不明であることがほとんどで、貸金業者からの督促をまったく受けることがないからだと思います。
行方不明なので、貸金業者は債務者に督促することができません。債務者はまったく返済のプレッシャーを受けることなく平然と日常を送ることになります。
貸金業者は債務者の住民票を自由に申請することができますが、債務者が住民票をそのままにして引っ越した場合には、住所の追跡が不可能になります。
また、貸金業者に融資を申し込む際には、個人信用情報機関に登録をされます。引っ越した先の住所を貸金業者に伝えると、すべての貸金業者の知るところになってしまいます。
そのため、住民票を動かさずに引越をして、その後は貸金業者に融資の申込を一切しないで、さらに新しい住所をすべての貸金業者に知らせなければ、これで行方不明というわけです。
時効になる人は、そうして行方不明となった人ばかりです。やり方としては簡単ですよね。住民票を動かせないということで、それによる国民の権利を放棄すれば、案外簡単に借金を時効にすることができるのです。
ただ、自己破産などの手があるにもかかわらず、あえて行方不明になる意味はあまりないと思いますし、人間としてもどうかと思います。
行方不明になって時効を待つぐらいなら、債務整理をしたほうが随分と早いですし経済的な再生も早いと思います。