5人に辞任された人
消費者金融業者で勤務していると、いろいろな債務者を目撃することになります。中にはすごい人もいますので、その人の話をここではしたいと思います。
その債務者は、私の勤めていた消費者金融業者から借入をしていたわけですが、他の貸金業者からも借入をしていましたので、俗に言う多重債務者だったと思います。
返済は遅れがちですが、2年ぐらいは遅れながらも返済を続けていたと思います。しかし、さすがに返済に窮したのでしょう。
ある日、弁護士からの受任通知が届きました。内容は任意整理ということで、その弁護士に全取引履歴を送りました。
その後、2ヶ月してもその弁護士から連絡がないので電話してみたところ、辞任することになるという返答でした。
そして、辞任通知が届き、その債務者に連絡しました。すると、また別の弁護士に受任してもらったということです。
この債務者はそんなことが何回も続き、弁護士や司法書士5人に結局辞任されていました。
辞任の理由については守秘義務があるということで弁護士や司法書士には教えてもらえませんでしたし、債務者本人に聞いても言葉を濁すだけでわかりませんでした。
その債務者がその後どうなったかというと、行方不明になってしまいました。
仮に5人分の着手金を全額支払っていたとすると、その分で大幅に借金を減らすことができていたと思います。
誰がかわいそうかと言えば、貸したお金を返してもらえない債権者になるでしょう。